ご挨拶

 この度、「1944年昭和東南海地震 諏訪地域災害アーカイブ」サイトを公開する運びとなりました。本アーカイブは、長野県、信州大学の共同研究として2025年度に開始したもので、地震の記録や記憶をデジタルデータ化し、インターネットで公開しながら保存・活用していく取組みです。具体的にはWeb-GIS(インターネット上で動く地理情報システム)を用いた地図データベース上に、残された資料や体験者へのインタビューから聞き取った発災時の様子、人々の行動などを記録しています。またその様子を気象庁震度階に置き換えることで、当時の震度分布を表現しています。

 昭和東南海地震は1944(昭和19)年12月7日に発生し、東海地方を中心に大きな被害が発生しました。震源から離れた長野県諏訪湖周辺一帯でも、数多くの被害が確認されています。しかし、第二次世界大戦中であったことから情報統制によってその被害状況は報道されず、「隠された地震」として公式記録もほとんど存在していません。そこで地震発生から80年以上が経過し、また南海トラフ巨大地震の発生が危惧される現在において、諏訪地域における当時の貴重な体験・資料を風化させることなく収集し活用していくことで、改めて教訓から学ぶことを目指しています。

 本アーカイブは、こうした過去の災害記録の収集・公開にとどまらず、これら収集された情報を用いて将来の災害に備えるために、アーカイブの情報を用いた学校における防災教育、地域防災への活用などを目指しています。たとえば地域の危険や避難所などを載せた防災マップや助け合いマップ、各種災害情報などを重ねて使っていくことができます。アーカイブが学校や地域で主体的に使われることを意図しており、将来的には学校や地域が活動成果を自らアップロードし、データを更新し続けていける自立的な運用を目標としています。したがって今回の一般公開開始は、サイトの完成を意味するものではなく、文字通り開始を意味するものです。

 皆様には、地域での防災活動や学校での防災教育などに積極的にアーカイブをご活用いただき、教訓を生かす形で地域防災力の向上が図られることを願います。本アーカイブの主役はあくまでも利用者の皆様です。行政や大学はこれを陰ながら支援する仕組みや機会を提供し、寄り添いながら応援していく所存です。

2026年2月28日

 

 長野県内には多くの活断層があり、平成以降では平成23年(2011年)の長野県北部地震、平成26年(2014年)の神城断層地震といった震度6弱以上の地震が発生しています。

 また、全国的に甚大な被害が想定される「南海トラフ地震」が発生した場合、本県でも震度6弱以上の強い揺れが予測される地域があり、36市町村が「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。このような状況から、一人ひとりが大規模地震への備えを進めることがますます重要となっています。

 過去の「南海トラフ地震」であり海溝型地震の昭和19年(1944年)「昭和東南海地震」では、三重県南東沖の震源から遠く離れた長野県の諏訪地域においても、住家などさまざまな建物で被害が確認されています。

 こうした経験と教訓を確実に未来へ伝えるとともに、当時の被害の実態を知っていただき、災害への備えを考えるきっかけとしていただくため、信州大学との共同事業として「昭和東南海地震 諏訪地域災害デジタルアーカイブ」を構築いたしました。

 本アーカイブが、学校や地域、企業における防災学習の教材として広く活用され、県民の皆さまお一人お一人が防災意識を高めていただくことにつながれば幸いです。

今後とも、安心・安全で災害に強い長野県づくりに向けて、皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

2026年2月28日